◇本当の問題を教えてくれた事件
今日8月20日は、盲導犬「ミッケル」と私がペアを組んで、ちょうど6か月の記念日です。
ミッケルとの共同訓練の途中で、盲導犬を持った先輩ユーザーから「最初の6か月が大変ですよ」と聞いていたので「とにかく、6か月が目標」とやってきました。
今、ミッケルとの「2人・6脚」の歩みを振り返り、一緒に成長出来たことを考えています。
先ずお互いの心の「信頼関係」は、とても深まりました。
まだまだですが、マザー・テレサさんの言葉
「愛しなさい、痛みを感じるまで。
愛しなさい、痛みを感じなくなるまで」
を目標にやっています。
それから行動の面でも、歩くことや電車の乗り降り、一緒に生活する場面のあれこれでも、息が合うようになり、徐々に成長できました。
なのですが…。
先日の朝、仕事に出かける途中の地下街でミッケルが排便をしてしまいました。
「ウンチ事件」です。
毎日、出かける前は必ず家で排泄を済ませるようにしていて、その日もちゃんと普通の固さと量の「ウンチ」をしてくれていたので安心していました。
朝の通勤時間帯で多くの人が行き交っていました。
歩いている途中、ミッケルのおかしな動きを不思議に思い、まさかと思いながらそぉーと手さぐりで路面を触ると、お腹が緩かったのか少し柔らかい「ウンチ」が指に触れ、「わぁっ!」と思わず手を引っ込めました。私が使える片手で「ウンチ」を取るためのビニール袋を出していると、通りがかったご婦人から「何かお手伝いしましょうか?」と、優しい声が聞こえてきました。
「あっ、ありがとうございます。大丈夫です」と言うと、「私が取ってあげましょう」と、ビニール袋を受け取り「ウンチ」を取り始めてくれました。
すると、もう一人の別の女性の方が寄って来てくださり、「これで手を拭いてください」と濡れティッシュを渡してくれました。
「ありがとうございますぅ」とそれをもらい、手を拭きました。
私がリュックから濡れ雑巾を出し、床面を拭き「これで大丈夫でしょうか?」と尋ねたら、
「大丈夫ですよ。もう一度手を拭いてください」とまた濡れティッシュを私にくれました。
私が「ウンチ」を取ってくれた方から袋をもらおうとしたら、今度はお菓子の紙袋のような袋を出してくれ「この中に入れてください。そのティッシュも入れてください」と言ってくださいました。
お礼を言いながら袋に入れ、その紙袋を私のリュックに入れようとしたら、「私が
通る途中にゴミ箱がありますから、捨てておいてあげましょう」とその紙袋を引き取ってくれました。
お二人のご親切と、優しさに胸が熱くなりながら、お礼を伝えてお別れしました。
ミッケルとペアを組んでから、ずっと「トイレ」のことは私の中で心配の種でした。
町中でさせては、絶対にいけない。
ミッケルに、盲導犬全体に、恥をかかせてはいけない。
だから出かける用事がある時は「ちゃんと出してくれるかな」と、前の日から当日の朝も、いつも心配で、特に初めの頃リズムがつかめていない頃は、少しノイローゼ気味になっていました。
最近でも、出してくれるまではドキドキの私です。
今回の「ウンチ事件」は、私とミッケルにとって大きな成長のような気がします。
人間でも、ワンちゃんでも生理現象は当たり前で、盲導犬であっても同じです。
今回、通りがかりのお二人から優しくしてもらい、これまでの私の心配がほぐれた気がします。
これまで過剰に周りの目を気にし過ぎていました。
本当の問題は、もらしてはいけないや、周りの人の目でなく、私の心にあった「こうあらねばならない」のこだわりだったと思います。
このように、ミッケルと一緒にこれからも一つひとつ、時間をかけながら成長していきます。
それからもう一つ
「ウンチを探す時は、素手ではやらない」ことも学びました。
にこっ!亀ちゃん
※写真は出勤前の「仲良しツーショット」です。
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