視覚障害者だからこそわかる挑戦と気づき
今月初め、三重県視覚障害者福祉大会で「挑戦」をテーマに講演をさせていただきました。会場には県内の視覚障害者や支援者、約200名が参加してくださいました。
挨拶の後、私はマイクを一度切り、大きな声で「私はここにいまーす!」と手を叩きながら皆さんに伝えました。
それは、以前、私自身が講演を聴く際、話し手の声にうなずいていた方向が実はスピーカーの位置で、本人は全く別の場所にいることに気づいた経験があるからです。視覚障害者同士だからこそわかる、そんな「あるある」を感じてもらえたらと思い、少し気をつけました。
以前の話になりますが、パソコンのOSがWindows XPからWindows 8に変わった頃、盲人の知人がライトハウスでWindows 8の講習会を受けてきました。そして「講習内容を録音してきたけど、聞いてみる?」と声をかけてくれました。
最初は、「パソコン教習は実技が大事だから、音声だけでは理解が難しいだろう」と思っていましたが、せっかくなので借りることにしました。録音を聞きながらパソコンを操作してみると、驚いたことにとてもわかりやすかったのです。よく考えてみると、その講師も受講者も盲人で、視覚に頼らない説明が的確に行われていたからでした。この経験から、視覚障害者同士の説明は、時に視覚を使う人以上にわかりやすいことがあると気づきました。
また、こんなこともありました。
私が盲学校で授業をしていたとき、リモコンのような形をした「色を教えてくれる」視覚障害者向けのデバイスを生徒に紹介したことがあります。その時、生徒たちは「おぉーっ、すごい!」と大喜びでした。しかし、同じデバイスの話を、私が勤務していた百貨店の社員研修で話すと、「それ、何に使うんですか?」という反応でした。目が見える人にとっては、必要性を感じない機器だったのです。この経験を通じて、人の状況や立場、抱えている問題によって、必要なものや大切なことが全く異なることを実感しました。
冒頭に戻りますが、今回の講演では「挑戦」というテーマでお話をしました。
私の「小さな挑戦」が、少しでも視覚障害者の皆さんに伝わっていれば幸いです。
ところで、この話、ちゃんと伝わっていますぅ? にこっ!
亀ちゃん
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