◇ご縁の広がり

5月21日に、前回このブログで紹介したジャケルさんの『パンツを脱いだあの日から 日本という国で生きる』の「出版記念講演会」が無事に開催されました。
会場には沢山の方が来てくださり、とても温かな空気に包まれた幸せな時間でした。
その講演の様子の一部を紹介します。
会場の照明が消え、周囲は暗闇になりました。
続いて戦場でのもの凄く大きな爆発音や、銃声と悲鳴の音声が流れる中「戦争、戦争 戦争」のジャケルさんの声で講演が始まりました。
祖国バングラデシュの独立戦争のさなかに生まれたジャケルさんは、「戦争の悲惨さ」を身をもって体験しているので、それだけに戦争反対を強く訴える言葉で講演が始まりました。

次に人間は生まれる場所や環境は選べないのですが、厳しい環境の中でも懸命に育ててくれたご両親への感謝の言葉が続きました。
何とか幸せを手に入れたいと考えたジャケルさんは日本に「出稼ぎ目的」でやって来ました。

来日の初日。
町の銭湯に行ったのですが、人前では絶対に裸にならないイスラム教を信じるジャケルさんは、いきなり日本の銭湯の様子に驚きました。
どうしても最後のパンツ一枚を脱ぐことが出来なくて、履いたまま入ろうとしたら番台のおばさんに大きな声で叱られました。
何を言っているのか言葉は分からないのですが、どうも「パンツを脱ぐように」言われているのは分かり、数分間考えました。
涙が頬をつたいました。
「ここは日本です、私はこの国に学びにきました。 自分の文化とプライドを捨てないと新しいことが入れられない」
思い切ってパンツを脱ぎ、悲しみの独り言を言いながら浴室に行きました。
その時の独り言をベンガル語の涙声で話してくれました。
それを聞き、その時のジャケルさんの心を思うと胸が詰まり、私も涙がこぼれました。

日本では言葉の苦労に加え、お金も大きな問題でした。
ようやく見つけた居酒屋のアルバイトの初日。
洗い物を命じられるのですが、なかなかうまく出来ません。
店長から怒鳴られ、侮辱され、使い終って汚れたおしぼりを顔に投げられ、心は悲しみと怒りで潰れそうでした。
感情を抑えきれなくなったジャケルさんは、大きな声で祖国の一番悲しい歌を歌い始めました。
その歌を、講演の中で歌ってくれました。
何とも悲しく、辛いメロディーに加え、ジャケルさんのその時の悲しみが声に込められて、内容を知っている私の目からも涙がこぼれました。

このように、ジャケルさんの素直な気持ちが現れた、素晴らしい講演でした。
私は会場で皆さんと一緒に大きな拍手を贈りながら
「ご縁の広がり」のすごさを思いました。
ジャケルさんは28年前に、一人で、たった一人で日本にやって来ました。
数えきれない人達に会い、数えきれない出来事に遭遇し、今回の舞台に立っています。
ジャケルさんの大切なご家族と、ジャケルさんを応援する多くの人達に囲まれているジャケルさん。
「本当に、よくここまで頑張って生きて来られましたね」と心の中で大きな声援を送りました。

そして、もう一つ。
会場に来てくださった方だけでなく、オンライン参加の方や、参加は出来ないけどチャリティー募金だけでもといった皆さんの優しさのお陰で、沢山の募金が集まりました。
アジア協会 アジア友の会を通じて、バングラデシュの留学生さんのために有効に使わせてもらいます。

また、前回のブログを読み、会場でのお手伝いをしてくださった皆さま、とても助かり、感謝で一杯です。
今回「愛と優しさ」をくださった全ての皆さまに厚くお礼申しあげます。
一つの大きなイベントが終わり、大切な思い出がみんなの心に残りました。
ありがとうございました…。  
亀ちゃん

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