◇歴史をつなぐ
今から十数年前。
当時我が家で飼っていた愛犬「スキュラ・母親」と、「ルチア・娘」の二匹と休みの日の夕方に行く散歩コースがありました。
今ミッケルと行っている散歩コースを「Aコース」とすれば、それは「Bコース」です。
14年前のある日、二匹とBコースを散歩していた私達は迷子になり、帰れなくなったことがありました。
妻に電話で迎えに来てもらい、帰ることは出来たのですが「もう、このコースには行けないな」とあきらめ、それからは、その道を通ったことはありませんでした。
先月の終わりに、ミッケルといつものAコースを散歩していたら、急にミッケルの足が止まりました。
「何?」と、前方を白杖で探ると、どうも台風で倒れたと思われる木が道路を塞ぎ、通れなくなっていました。仕方なく引き返して家に戻りました。
次の日、妻に着いて来てもらい久しぶりにBコースをミッケルと歩きました。
14年ぶりに歩く道で、「そういえばスキュラが家に来て初めての散歩道はここだったなぁ」と、昔を思い出しながら歩きました。
帰り道をミッケルに任せたところ、しっかりと家まで帰ってくれ、改めてミッケルの賢さに感心しました。
そして次の日の朝。
思い切ってミッケルと二人でBコースに挑戦しました。
ドキドキしながらの散歩でした。
途中、角を曲がるとそこからは長い直線道路になります。そこから帰りに曲がる目安のために歩数を数え始めました。
街中を歩く時も、次回のために周りの目印を探しながら歩くのが癖になっています。
点字ブロックや、近くから聞こえる店の音や臭い。
エアコンの吹き出し音や風邪。
道路の上がり下がりやへこみなども大事な目印です。
昔ある盲人の人に「どうやって道路を真っ直ぐに歩くのですか?」と尋ねたら「住宅街の道路などは平らに見えて、微妙に“かまぼこ型”に中央が膨らんでいるから、その傾斜を足裏で感じながら歩くんだ」と教えてもらい、今も大いに役立っています。
さて、今朝の散歩で700歩ほど数えたところで水の流れる音が聞こえてきました。
どうも道路の脇の水路から聞こえてくるみたいです。
するとちょうど道路を横切るように金網のふたを足下で感じたので、それを折り返しの基準にすることにしました。
折り返したあと、「さあ、ミッケル頼むよ」と言って歩き始めました。
ミッケルは一度も迷うことなく我が家の門まで帰ってくれました。
ミッケルを抱きしめ「ミッケル、スゴイっ! good、guoodっ、GーOOD! ありがとぉ~」と、褒めてお礼を言いました。
今回、昔の道が蘇り、スキュラ、ルチアに続き、ミッケルへと散歩の歴史がつながりました。
また一つ新しい道が開け、新しい歴史が始まります。
緊張と喜びの朝になりました。
次からは少し余裕で歩けると思いますが、今回の散歩では「いのちの歌」を口ずさむ余裕はありませんでした。
にこっ! 亀ちゃん
※写真は今のBコースで写したミッケルと、昔のスキュラ(黒い方)と、娘のルチアです。
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